フランスが地球温暖化対応を重視して、温暖化ガス削減対策を優先するため、2021年までに石炭火力発電所を全面閉鎖することを決めた。これに伴って、原発依存度を25年までに5割に下げるというこれまでの削減目標は先送りする。これまで、仏国内にある原子炉全58基のうち、17基程度を閉めるとみられていたのだが。ユロ・仏エコロジー相は、国内の石炭発電所すべてを21年までに閉じ、温暖化ガス排出量を減らすというマクロン大統領の公約を守るのが理由だと説明した。石炭発電は仏国内の発電量の約1.4%をまかなっている。この数字から言えることは、石炭火力からの地球温暖化ガスの排出が非常に多いということだ。フランスが脱石炭にこだわるのは、温暖化対策の分野で存在感をみせる狙いもあると見られている。石炭による発電割合が4割を占めるドイツが今後これにどのように反応するかもヨーロッパ全体の動向に影響するだろう。日本は丁度エネルギー長期計画改定の審議が始まったところだが、原発派は力を得るかも知れない。日本の場合、LNG・石油火力に依存する度合が高い。石炭火力発電も新設を認めてきたのだが、これをどう判断するだろうか。少なくとも再生可能エネルギーの導入をやりやすくする規制なり優遇策を強化する必要があるだろう。フランスも脱原発を次に目指すのは確かだから、日本も原発の新増設だけは回避してほしいものだ。