効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

排水油脂で発電

NEDOが発表したものだが、飲食店や食品工場における排水浄化の過程で分離回収される油脂を原料とした発電用燃料の製造に日本で初めて成功し、この燃料を利用し発電する100KVA規模の発電機を搭載した国内最大級のバイオマス発電車を開発したということだ。実際にこれを完成させたのは(株)ティービーエム。9月10日、入間市主催の「第23回いるま太鼓セッション」において、(株)松屋フーズの協力を得て、同社の入間店ほか埼玉県内98店舗から回収された動物性油脂を原料に発電用燃料を製造し、同イベントに電力供給を行う実証試験を行う。
飲食店や商業施設、食品工場等における排水に関しては、下水道法や水質汚濁防止法で規定する排水基準以下の濃度で排水することが定められており、下水道や公共用水域へ汚水や油脂が直接流出することを防ぐためのグリース阻集器(グリース・トラップ)を設置することが事実上義務づけられている。ということは、操業すれば必ず油脂が貯まることになる。賦存量は、全国で年間31万トンにも上ると推定されているが、水分含有率が高く、不純物も多いため、再生燃料化が難しく、未利用資源となっていた。これをNEDOティービーエムが、トラップグリースを発電用燃料化することに日本で初めて成功し、この燃料を利用し発電する100KVA規模の発電機を搭載した国内最大級のバイオマス発電車を開発したものだ。これまでは産業廃棄物と処理されてきたものが、電力を生み出す燃料となるのだから、その環境貢献度は高いはずだ。ティービーエムは、実証試験を積み重ね、2020年までに排水浄化からグリーン電力を生み出す「フード・グリーン発電システム」を首都圏全域に普及させることで、“新エネルギーの地産地消モデル”の確立を目指しているとのこと。これは日本全体だけでなく、海外にも技術移転をすることができるだろう。現時点では系統に連系されるのではないようだから、FITの対象にはならないだろうが、いずれはそれも可能になると思う。