効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

LNG輸入契約の仕向地条項

日本は世界最大のLNG輸入国だ。アラスカからの輸入が1969年11月に開始されたが、このプロジェクトは東電と東ガスの共同事業だった。これ以来、輸入量が急増していったが、安定供給を重視したことで長期契約が多く、それにはFOBの場合、他へ転売することを禁止する契約、すなわち仕向地条項が入っているものがほとんどだった。また、産油国との関係も重視され、LNG価格が原油の市場価格と連動する契約にもなっていた。いわば輸入に特化せざるを得なかったのだが、LNG産出国が増え、原油価格も下がったことから、この長期契約以外にスポット市場も生まれるようになっている。このほど報じられたのだが、公正取引委員会は6月28日、LNGの取引実態に関する調査結果を公表した。出荷基地の船積み段階で買い主にLNGを引き渡す「FOB契約」の場合、第三者への転売を制限する仕向地条項を規定すること自体が独占禁止法上問題となる恐れがあるとの見解を示した。公取委は契約当事者がこの調査結果を踏まえて契約条項や取引慣行を見直すことを求めている。これは、日本にLNGの取引市場を育てようとする日本政府や事業者の考え方を反映しているのだろう。これまでの契約は別として、今後のLNG輸入契約について、この条項が入らないものが生まれれば、余剰分あるいは全量を転売することができる。原油価格の変動とは分離されたLNGの国際取引価格が形成されることになるはすずだ。日本のLNG輸入事業者がどのように対応するかを注目している。