新電力事業が電気料金の安さだけでなく、いろいろの特典を準備して顧客獲得に努めているが、その対象に電気自動車まで登場したことに驚き、かつ感心している。新電力で燃料商社の伊藤忠エネクスは、電気と車のセット販売を始めると報じられている。子会社の日産大阪販売で電気自動車（ＥＶ）などを購入したユーザーを対象に、地元の関西電力より割安な料金で提供。電気を多く使う世帯では20％超安くなるという。自宅でＥＶを充電する設備の購入資金も最大10万円補助する。ＥＶを自宅で充電するためには屋外用のコンセントや専用のブレーカーを設置する必要があり、ほぼすべての費用が10万円でまかなえるということだ。初年度に１万5000件の契約獲得を目指すとのことだが、電気自動車に注力する日産の知恵と執念みたいなものだ。
この新電力としては、EVの走行距離が伸びるほど販売電力は大きくなる。ほとんどの家庭ではEVを自宅で充電するだろうから。将来的にはこのEVから新電力が電気を買い取ることも始めるだろうと思う。蓄電池の情報を入手すれば、翌日の走行に支障が出ない程度の買電はできるだろうし、昼間に駐車しているEVからは高く買っても引き合うだろう。太陽光発電や燃料電池などとの組み合わせも選択肢になる可能性もある。意外なマーケティング手法だが、社会に与える影響は意外に大きいプラスとなるかもしれない。
