効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

電力卸市場

2003年に設立された日本卸電力取引所(JEPX)は、この6月まで大手電力事業会社の供給区域を越えての取引を仲介することはできなかった。そのため、取引量は大きくならなかったし、卸電力料金も競争で下がるという側面もあまりなかった。だが、6月3日から、連系線を経由して供給エリアをまたぐ取引が3日から可能になり、潤沢な供給余力の売買機会が拡大したことから、6月の約定量が前月の約16倍に増加したということだ。約定件数は前月比約4倍の5万7597件、約定量は約16倍の9710万1450キロワット時に増加している。1時間前市場が開設されたのは4月。約定価格も大きく下がっている。発電原価の安い電源から順に稼働する「メリットオーダー効果」が促進されたためだ。スポット市場のシステムプライスとの価格差は、前月の平均2円49銭高から同64銭高まで縮小している。例外は北海道エリアだ。本州と接続する北本連系線は北海道エリアに向けて流れる潮流が強く常時分断し、スポット市場でもたびたびキロワット時当たり40円台まで高騰する。西日本と東日本では大きな都市圏、工業地帯があるために、東西の連系線の容量が小さいのもあまり問題になっていないようだ。しかし、将来の相互融通に備えて、周波数変換設備の増強が計画されている。どうも北本連系線の増強の方が優先するような気がするのだが。さらに、経済産業省再生可能エネルギーでつくられた電気を2017年度から公開市場で調達できるようにするため、この取引所での電力売買の内容も大きく変化するだろう。太陽光や風力といった再生エネの電気は、東京電力ホールディングス系や関西電力などの電力大手が発電事業者から買い取る義務があるが、17年4月以降に新たに買い取り契約を結ぶ場合、買い取った電気を原則として「日本卸電力取引所」に供給させることになる。新たに市場へ参入した事業者が再生可能エネルギーを中心とした調達をやりやすくなるだろう。その取引価格がどのようになるか、よく分からない。