効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

米国炭鉱の悲劇

AP通信が昨日、米国最大の石炭採掘企業であるPeabody Energyが倒産の直前まできていて、倒産回避のChapter 11を申請するかもしれないと報じていた。同社の株価はここ1年で97%以上下落したという。中国を中心にした世界諸国の低成長経済と厳しい環境規制がその原因であることは確かだ。同社の取引先はほとんどが電力事業の火力発電用だが、電力事業が火力発電の燃料を石炭から価格が下がって大気汚染も少ない天然ガスにシフトしたために、売り上げが激減したのだ。米国の公式統計によると、昨年には、石炭火力からの電力量は一昨年に比べて13%低下したようだ。それによって、石炭の産出量もここ30年の最低レベルに落ち込んでいる。昨年にも大手の炭鉱事業者が3社も倒産回避の法的救済を申請している。融資への利子の支払いができなくなったようだ。融資先との返済延期などの交渉がうまく行かなければ、倒産は避けられないという。Peabodyには7,600人が働いているが、倒産ということになれば失職することになる。このような状況は、米国がCOP21のパリ協定を遵守しようとすれば、ますます悪くなる可能性も高い。このあたりが現在進行中の米国大統領選挙の動向にも影響するだろう。日本は火力発電所の新設を、ある程度の条件付けをしながらも認めようとしている。世界から強い非難を浴びることになるだろうと懸念される。