効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

朝日新聞「私の視点」

エイモリー・ロビンスが今日の朝日新聞の「私の視点」欄に、日本の自然エネルギー導入のテンポが遅すぎるという趣旨の投稿をしている。彼は「新しい火の創造」(拙訳)の原著者だ。日本に対比してドイツの現状を示す数字を出している。知り合いが切り抜きを送って下さったので知ることができたのだが。彼が指摘しているのは、日本が化石燃料の資源が乏しい国だが、自然エネルギーの資源は工業国のなかでも豊富であり、面積当たりでドイツの9倍にもなるのに、自然エネルギーによる電力の導入量はドイツの9分の一だという事実だ。電力会社による寡占的体制が競争を阻んできたからだとする指摘はそのとおりだと思うが、日本社会がその寡占を受け入れてきたところに根本的問題がある。その弊害が露呈した3/11以後の電力供給不足に直面して社会は気がついたのだが、政治はまだ自然エネルギーより原発再稼働に傾いているようだ。問題はこれまでの送配電系統が各電力会社単位で管理され、その間をつなぐ電力系統の容量が極端に小さいのと、各電力会社の送配電系統が極めて精緻に組み上げられているために、不規則に変動する自然エネルギーを受け入れにくい制御方式になっているためだ。この桎梏から逃れるには、電力会社を抑え込む大きな政治力と政府資金も投入した送電系統の増強と制御方式の転換が必要だろう。緊急避難的に原発再稼働は避けられないかもしれないが、それに頼らない社会の意思力が必要だ。