効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

空調に雪を利用する実証試験

環境省は、北海道の雪を東京まで運び、夏の冷房の冷熱源として利用することにより、冷房に消費されるエネルギーからのCO2排出量を減らすことがどれほどできるかの実証プロジェクトを行った。その第一段階では、北海道に貯めてある雪を毎日、鉄道とトラックで東京まで運び、帝国ホテルの空調に利用したのだ。雪の中を通すことで空気の温度、あるいは冷水の温度を下げることによって、空調システムの電力負荷を引き下げることができるのは確かである。しかし、この試みは失敗に終わった。雪の輸送に使う交通手段からのCO2排出量の合計が、空調負荷軽減によって実現する排出量の削減量の3倍になるという結果になったのだそうだ。雪の輸送距離は約1,230キロメートル。輸送には1日半を要している。この実証試験で、輸送距離が250キロメートルを超えるとCO2削減効果は出ないことが分かり、距離が190キロほどの山梨県甲斐市から運ぶことにするという。これでもおそらく電動、あるいは燃料電池駆動のトラックを使わなければ、あまり意味のでない事業となるのではないだろうか。それよりも雪のエネルギーを地元で利用する方法を考える方が有効だろう。