効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

富士電機の100キロワット燃料電池

今日の新聞報道によれば、富士電機は下水処理施設で発生するメタンガスを利用した発電システムを開発、自治体や企業の工場向けに販売するということだ。自分が20年ほど前に開発実証の一部を手がけたリン酸型燃料電池がやっと商品として独り立ちしたのは嬉しい。メタンガスを燃料に使うので、国内では再生可能エネルギーからの電力として固定価格買取制度の対象となることから、普及の一歩を踏み出すかもしれない。燃料電池システムのコストが1台7千万円というのは、これまで1億円前後だったと記憶しているので、コストダウンがここまでできたかと思うと富士電機の努力を評価したい。
ただ、燃料としてのメタンを下水処理場や食品廃棄物処理過程などから採取するのが必ずしも容易ではないから、トータルとして事業性が固定価格買取制度によってどこまで確保できるのか、導入しようとする自治体や企業の判断がどのようになるかが課題だろう。富士電機はこの事業モデルを栃木県には提案済みだそうで、これを導入しようとする同県の試算では、維持費は約2千万円なのに対して売電収入は年間約6千万円が見込めるという。多分10年ほどで燃料電池の発電ユニットであるセルの取り換えも必要だろうから、そのコストも入れての維持費なのだろうが、設備コストの回収も入れると事業性の確保は簡単ではなかろう。国内ではバイオマス発電設備としても売り込む一方、海外市場も開拓し、13年は20台の販売を目指すという計画のようだ。順調に販売が展開されるのを期待している。