富士電機が、製造している100キロワット規模の業務用リン酸型燃料電池を欧州に輸出するのに成功したようだ。欧州での販売に必要な国際規格を取得し、ドイツの自動車メーカーダイムラーグループから販売店向けとして受注したと報じられている。燃料電池の環境負荷が小さいため、欧州ではこれを再生可能エネルギー電源扱いする国もあるため、今後は現地生産も視野に入れて受注を拡大するという。2年後には欧州向け燃料電池で10億円の売り上げを目指すというから、昔1キロワットという小型ではあるがリン酸型燃料電池の開発に従事したものとしては嬉しいことだ。いま日本で市場に出ている固体高分子型や固体酸化物型の燃料電池よりも触媒となる白金の使用量が多いというハンデを乗り越えることができるくらいその使用量を引き下げることができ、また、耐久性も上げるのに成功したからだと理解している。これまで日本向けだけの販売で、しかも下水処理場の汚泥を発酵させて得られるメタンを燃料にする設備向けなどが主たるもので、かなりの補助金がなければ事業性を出すのが難しかったようだ。実績としても年間10台ほどということだ。欧州では補助金もあるだろうが、発電した電力を固定価格で高く買い取る制度が適用されるはずだから、販売をし易い条件が整っている。排熱の温度が高いために、工場のプロセス蒸気などの熱源にも利用できて、総合効率は高くなる。是非販売実績を積み上げてほしい。これに成功すれば、アジアも有望な市場になる可能性があるし、日本で販売できる制度的支援策も新しくできるだろう。是非がんばってほしいものだ。