効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

寿命10倍の燃料電池触媒

この間は白金に代わる金属で燃料電池の触媒ができたと書いた。今度は、燃料電池の寿命を10倍に延ばせる新たな触媒が開発されたようだ。両方とも九州大学で。今回は中嶋直敏教授らの研究グループ。これも固体高分子電解質燃料電池向けのものだろう。変質しにくいカーボンナノチューブ筒状炭素分子)の表面に白金の微粒子を付着させた触媒で、電池の性能が落ちにくいようにしたという。触媒にはこれまで、白金を付着させる導電性素材としてカーボンブラック(炭素粉)が使用されてきた。ただ、電池を使うにつれてカーボンブラックが変質し、触媒が劣化する難点があったらしい。カーボンナノチューブは白金の微粒子が付着しにくい。このため、接着用の特殊樹脂を利用し、白金を付着させるのに成功したのだが、樹脂は白金の利用効率を高める機能も持ち、中嶋教授によれば「高価な白金の使用量を大幅に減らせる」ということだ。白金の使用量を減らすのは燃料電池の価格を下げるのに重要な要素だと前回も書いた。同時に電気への変換効率も高めないといけない。白金には改質ガスに含まれる一酸化炭素による被毒による劣化もあるから、白金に頼らなくても済むのならそれにこしたことはない。
この間ここで書いた白金を使わない触媒の場合の発電効率がどうなるか分からないが、同じ九州大学だから共同してさらに性能の良い、コストを下げることができる触媒を開発してほしいと期待している。燃料電池というとすぐ飛びついてしまうのが習い性となってしまったなと自分でも思うが、これから重要な役割を果たす分散型電源の最右翼だから早く商品として広く、世界的に利用されるようになってほしいものだ。