効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

球状シリコン太陽電池モジュール

産業革新機構が、球状Si太陽電池の事業化を目的に、5億円の出資を決定したと4月23日に発表している。以前から球状Si(シリコン)のモジュールについては知っていて、京都のベンチャーが開発した日本独自の技術だと理解していたが、ビジネスとしてほとんど育っていなかったということを始めて知った。非常に小さなシリコンの球を基盤となる膜に貼り付けて結合させた構造になっているため、球自体がプリズム効果を持っていて、朝夕のように太陽光の入射角が低いときにも発電力を維持してくれる。また、球状であるために、基盤となる膜が柔らかいものを使えれば、曲がった面を作ることにも自由度が高く、この特色を生かした市場が育っているだろうと思っていたのだが、今回の発表によると、ほとんど売り上げが立っていないのだという。球状Si太陽電池は、Siの原料不足が深刻だった2005年ごろに、Siの使用量を1/5程度に削減できるとして注目を浴び、大手太陽電池メーカーとしては、京セラが球状Siを開発していたが、事業化は見送ったという経過がある。現在、球状Si太陽電池を事業化しているのは、球状Siに集光する独自のモジュールを用いるクリーンベンチャー21であるとのこと。小さな球をつなぎ合わせないと集電ができないが、それがほとんど手作業だということも今回初めて知った。産業革新機構は今後1年以内にモジュールの生産を自動化したパイロット・ラインを立ち上げて、生産コストがどこまで下がるかを検証すると同時に、需要がどの程度あるかを判断し、生産規模拡大のための新たな出資をすべきかを決めるらしい。具体的な市場としては、意匠が重視されるファッション・インテリア市場や建材市場などを挙げているが、柔軟な基盤に球状Siを取り付ければ、たとえば電車や自動車の車体などに貼り付けるような使い方もできるだろう。いままで高い関心を持っていたものだけに、競争力のある商品に育ってほしいものだ。