大阪市の橋下徹市長が、新規参入する発電事業者に投資するファンドの創設を検討していることが分かったと、昨日紹介した記事と同じ1日の毎日新聞が一面左に報じている。このファンドは国内外の機関投資家から資金を集めて、関西圏の発電事業者に投資するというもので、東京都が同様な構想を持つのに倣ったものだ。東京都は来年度に運営する機関を選定し、数百億円規模で創設する方針で、都自体も20〜30億円を出資するという。東京都のファンドは既存の発電事業者のほか、太陽光や風力といった再生可能エネルギー事業にも拡げるらしい。
また、橋下市長はファンドの創設とは別に、関西広域連合と連携して、新規の火力発電所建設も構想している。平松前大阪市長も天然ガスを燃料とする発電効率の高いガスタービン・コンバインドサイクル方式(GTCC)発電システムを大阪湾の埋め立て地「夢洲地区」に導入を構想していたが、橋下市長は大阪市の領域を超えて、関電が発電所建設を予定したまま中断している和歌山市にある95ヘクタールの用地も候補に入れているという。
この構想は、関電に対して大阪市が行おうとしている「脱原発」株主提案を具体的に支える有力な戦略となると考えられる。単に主義あるいは姿勢として脱原発を提案するだけであれば、どのようにしてという具体策が一般に見えにくい。自らも発電能力の増強に努力するという立場を明らかにし、その増強が、関電も設備として既に持っている、相対的にCO2排出量が少なく大気汚染物質の排出も少ない火力発電システムを採用して行われることが、株主提案内容に納得性を与えることになる。建設期間やコストの予測も立てやすいため、関電としても正面から否定するのは難しいだろう。これが今後どのように展開するだろうか。