効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

原発継続がより難しくなった

毎日新聞の元旦号の一面トップに、「使用済み核燃料:直接処分コスト隠蔽 エネ庁課長04年指示 現経産審議官、再処理策を維持」という表題の記事が出ている。この扱いと記事の内容を見ると、スクープ記事かもしれない。経済産業省の安井正也官房審議官が経産省資源エネルギー庁原子力政策課長を務めていた04年4月、使用済み核燃料を再処理せずそのまま捨てる「直接処分」のコスト試算の隠蔽(いんぺい)を部下に指示していたことが分かったとする内容だ。日本はこれまで、使用済み核燃料は全量再処理する方針で来ていたが、その前提である再処理でできるプルトニウムを燃料とする高速増殖炉の開発がうまく進展しないし、再処理を行うことになっている青森県六ヶ所村再処理工場の建設がトラブル続きで、今年中に実稼動できるかどうかも危ぶまれているという現状にある。
この再処理コストが高騰を続けていることは認識されていたが、再処理をせずに使用済み核燃料を厳重に密封した缶体に入れて、地下の安全な場所に埋めるほうが再処理の4分の1〜3分の1以下で済むほど安くつくという試算があるということを我々は知らなかった。(地下埋設が安全だと言うこともまだ保証されては居ないし、場所も決まっていないが)。報道が事実だとすると、このような具体的な数字が試算されていたにも関わらず、再処理を継続するためにこの情報を隠蔽したというのだから、原子力行政に対する信頼感はこれまで以上に低下することは確かだろう。そうなると、定期検査が終わった原発の再稼働に向けての審査に対しても疑いの目が向けられることになりかねない。今年夏に向けて再稼働をさせるのはさらに難しくなったと言える。分散型発電設備の増強と、計画停電の実施に向けた準備を東電、関電、九電などはしなければなるまい。消費者も対応を余儀なくされるし、政府も、日本全体のエネルギー消費をこれまでのような一般へのお願いベースではなく、個々の消費を有効な方法で効率化、節減する具体策を早期に示す必要がある。