定期点検後の調整運転をしていた大飯原発1号機が、原因はまだ分からないがトラブルで昨夜停止を余儀なくされた。15日午後11時20分、蓄圧タンク内の圧力が一時的に低下して警報が鳴動。その後圧力は安定したが、関電は原因究明のため原子炉を停止することにしたようだ。この設備は、政府が15日に発表したストレステスト(耐性検査)の実施計画では、原子炉の再起動時に求められる1次評価はパスし、全原発を対象とする2次評価のみでよいとされていた。しかし、原子炉を手動停止することで、修理終了後の再起動にあたっては、1次評価が必要となる可能性が高く、再起動まで数か月かかる恐れもあると報じられている。原発は安全性を維持するために、全体から見ると小さく見えるようなトラブルでも念のために停止するのが原則だ。関西電力の原発比率が高いので、稼働中の原発にトラブルが起きると厄介なことになると思っていたのが現実になってしまった。いま稼働中のものも7月中に2基定期点検に入るのでこの夏には稼働しない。夏のピーク需要に対応するのが難しくなるだろう。需要家もみな節電に協力するはずだ。しかし、夏の最中に原発だけでなく、通常の火力発電所も故障で停まることがまたあるかもしれない。そうなると広域停電の可能性もあるから、本格的に計画停電の手法を関電も構築しなくてはならないかもしれない。さらには、原発が年内に再稼働できなければ、関電は11基のうち9基、出力合計で約772万キロワットを欠いたまま暖房需要が増える真冬を迎える。
計画停電をせずに何とか夏のピークを乗り切ったとすれば、それはそれでまた難しいことになる。原発に依存しなくても電力供給が可能ではないかという考え方がでてくるからだ。半年すれば、自家発の設置が増えてくる。特に工業用などについてはリスク計算すると多少電力コストが上がっても良いというところも出てきて、設置件数が増えるかもしれない。そうすると、余ったときには買ってほしいという需要家も現れる。関電はこれを断れなくなるだろう。ミニ版の自由化だ。東京地区よりも進展が早いかもしれない。