効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

燃料電池自動車

今日の日経新聞夕刊に、トヨタ自動車が米国カリフォルニア州燃料電池車用の水素ステーションの稼動を始めたと発表したと報じられている。少しびっくりした。トヨタ燃料電池車をほぼ諦めたと聞いたこともあったからだ。このステーションは、遠隔地で生成した水素をパイプ経由で安定的に供給する「パイプライン型」として全米初だそうだ。石油大手のロイヤルダッチシェルなどと共同で、米国トヨタ自動車番販売の敷地内に水素ステーションを新設したもので、数キロメートル離れた水素の生成拠点からパイプラインで供給すると説明されている。しかし、どうもすっと納得できないところがある。
水素は天然ガスから製造するのが一般的。製鉄工場でできる余剰水素をパイプで送るということもあるが、これはどこにでもあるわけではない。水素製造を一カ所で大量に行ってパイプラインで遠距離に送るのと、米国であれば天然ガスの幹線は普及しているから、適当な距離で小規模、中規模な水素製造プラントを設置するのとどちらに将来性があるのだろうか。燃料電池自動車への水素供給は超高圧でなければならないから、水素を遠距離送るとリークや圧損も考えなくてはならない。同時に自動車の普及を考えると、広域に水素ステーションを設置しなくてはならず、その投資額は半端なものではないだろう。電気自動車の普及が目前に来ていて、その性能も上がりつつある今、これから水素ステーションの設置を検証するのはあまり意味がないような気もする。燃料電池自動車の航続距離を考えると、今のガソリンスタンドと同じくらいの間隔で水素スタンドがなくてはならないのだから、市場性が小さいような気がしてならない。燃料電池には思い入れがあるのだが、この発表には首をかしげている。2015年から米国で燃料電池自動車を発売する計画ともこの記事で書かれているが、カリフォルニアだけでも水素ステーションを広く設置するのは至難のことのように思える。