効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

愛媛県東温市と太陽光発電

報道によると、温室効果ガスの排出削減量を企業間などで売買する「国内クレジット制度」を一般家庭に取り入れた試みが、東温市で始まった。太陽光発電システムを設置している一般世帯の二酸化炭素(CO2)削減量をまとめ、「排出枠(クレジット)」とし、地元の市商工会が「買い手」となり、「売り手」である一般世帯に地元企業の商品やサービスを提供する。CO2の排出削減を地域経済の活性化にも役立てようとする試みは全国で初めてという。この制度は「とうおん太陽の恵みスマイルプロジェクト」と名付けられている。市を事務局とする「市環(わ)のまちづくり推進会」が設立され、太陽光発電を取り付けることによって従来よりも削減された各世帯のCO2排出量を集約してひとまとまりの「排出枠」にする。これを東温市商工会に提供し、各世帯はその対価として市内企業が製造する地酒、銘菓などの特産品や、温泉の入浴券などを受け取る。排出枠が一種の地域通貨に変身するわけだ。
一方、商工会は、取引で得た排出枠を、主催イベントで出るCO2の量と相殺して「CO2を出さないイベント」としてPRしたり、商工会会員の地元企業に無償で提供して製品を作る際に出るCO2を相殺して、CO2を出さない製品として価値を高めるそうだ。12月上旬までに約50世帯が環のまちづくり推進会に参加しており、初年度は約9トン、2012年度までに計約330トンの排出枠が生まれる見通しだという。東温市は持ち家世帯の太陽光発電システム設置率は08年度末に3.5%と愛媛県でトップ。市独自の補助制度も継続的に実施しているほか、新築戸数が比較的多いことが高い設置率になっている要因。
ここで疑問がある。いま太陽光発電からの電気の内、世帯で使い切れなかった分は電力会社が固定価格で電気料金より高い値段、キロワット時あたり48円で買い取ることになっている。その買い取った電気についてのCO2削減量のクレジットは電力会社に移行する。だから東温市の場合、自家消費分についてのみ排出枠としてのクレジットが得られることになる。その数値を明確にするためには、太陽光発電の総発電量か自家消費量を知るための電気メーターを取り付けて、それを誰かが検針して自家消費量を計測しなければならないはず。このメーターのコストは各世帯が負担しているのだろうか。それとも市だろうか。最終的に排出枠を買うのは市だろうか商工会だろうか。一度使われた枠は償却する必要があるはずだが、その計算手続きは環のまちづくり推進会が担当するのだろうか。これから各地域で推進されそうな制度であるだけに、細かい運用について知りたいものだ。