効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

大きく効エネルギーに貢献する技術開発

日立製作所など日米英チェコの共同チームが、電流を流さなくても情報を処理できる新原理のトランジスタを試作したと報じられている。これまでのトランジスタで信号を処理する場合、どうしても電流が流れざるを得ない。僅かであるとはいえその電流の通路に抵抗があるために発熱し、その分だけエネルギー損失となる。この共同チームは、電流の代わりに電子の磁石としての性質「スピン流」を伝えることに成功した。多分一種の磁気の伝搬だろうからエネルギー損失はゼロではないにしろ、殆どなくなることになる。小さな電池でいつまでも使えるパソコンや、電子回路にほとんど電力を消費しないテレビができるかもしれない。家電だけでなく、広範な分野の電子制御回路の電力消費が激減する。いま膨大なエネルギー消費が問題となっているインターネットの通路にあるデータセンターの課題もかなる軽減されるかもしれない。日立ケンブリッジ研究所、チェコの科学アカデミー、英ケンブリッジ大学、英ノッティンガム大学、米テキサスA&M大学の成果である。
もう一つ新しいトランジスタ物質・材料研究機構などが開発したという報道がある。大阪大と東京大の共同研究。電源を切っても直前の状態を覚えていて、次に素早く使える新タイプのトランジスタで、消費電力が従来の演算素子の100分の一ですみ、起動時間ゼロのパソコンや、人間の脳のようなコンピュータにつながる技術だそうだ。一般的に情報を保持するのには絶えず電気を流しておく必要がある。そうでなければ、電気を流さなくてもデータを保持できる素材に移し替える必要があり、その時に電力を消費するし取り出しにも電力を消費する。だからこの新型トランジスタが実用化すると、きわめて効率の良い演算回路が作れるはず。将来は脳の神経細胞が成長を続けるように、回路が自分で学習を重ねていく脳型コンピュータができると期待されている。
これから膨大な量の制御回路が社会全体に導入されると予想されるから、このような技術開発が効エネルギーに大きく貢献するだろう。