宇宙探査衛星ハヤブサが苦心惨憺して送り返してきた試料カプセルの中に入っていた微粒物体が、地球のものではないことが判明したと報じられている。前にも書いたことだが、一つとして完全に作動しないシステムの健全な場所をつぎはぎしながら、計画よりもかなり遅れたとはいえ曲がりなりも予定した場所にカプセルを送り返したことだけでも快挙以上のものだ。それに加えて世界で初めて地球以外の場所にある物体を持ち帰ったのだから、諸手を挙げて賛嘆すべきことだ。日本の総合的な技術力の高さを証明したものである。これが我々の生活に何の得を与えるのだという言い方を、仕分け作業をする人たちはするかもしれないが、いま日本人がかかっている自信失調症を大きく軽減するものになったと断言できる。これに関わった人や企業の数は多い。その人たちを通じた波及効果は産業連関表などで測ることのできない大きなものだと思う。
これから日本が世界に誇れるイオン粒子の加速装置を使って組成をこれから調べるそうだが、塵のような微粒子の組成を、地球上の物体ではないと判定する技術が日本になければ、これほど高い評価にはならなかっただろう。技術システムの総合力があったからこそこの成果が生まれたことをもっと認識しなければならない。
今日たまたま中之島にある大阪市電気科学館へ行った。子ども時代には四つ橋にあっ頃よく通ったものだが、いまの所に移ってからは初めてだった。そこの宇宙コーナーにハヤブサの説明が展示されていた。展示には帰還予定と書かれていたところに、小惑星いとかわから微粒子を持ち帰ったと手書きで説明がなされていた。いずれ持ち帰ったものが宇宙の謎を解明するかもしれない、などとつけ加えられるだろう。