効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

自然エネルギーの出力変動抑制に空気液化

太陽光発電設備の増強に日本でも力が入れられている。それについて、2020年頃には、電力需要が落ちる休日などに快晴となると、太陽光発電からの電力が地域的に余剰となり、発電を抑制する必要も出てくると論じられている。個人的には、送配電系統にできるだけ手を加えたくない日本の電力事業の論理だと思っている。これから10年先にはこれに対応する新しい技術が登場しているはずだし、そうでなくても、配電系統を電気が逆流するのを許容する設計にすれば、かなりこの可能性を少なくできるはずだ。日本の問題としては風力発電の導入もあるが、それには今日は触れないで、英国で面白い発想があることを紹介したい。
英国のリーズ大学で、風力発電太陽光発電の出力変動を抑制するのに、大型蓄電池を設置する代わりに、その電力で液体空気を製造することによって、火力発電所からのCO2回収にも有効な方策となる可能性があるという提案がなされている。空気を液化して、液体酸素と液体窒素にする。この過程ではエネルギー損失はあるが、それはやむを得ないだろう。自然エネルギーからの発電が少なくなったときに、液体酸素を使って化石燃料を使ったタービンなどを回して発電する。これによって、太陽がない夜に太陽エネルギーで発電するのと同じ効果を出すことができる。液体酸素で燃料を燃やすと、空気で燃やすときに出る窒素ガスがないために、排ガスは殆ど全てが炭酸ガスとなり、液体窒素を使って冷却するとドライアイスとして回収できる。液体窒素は高温超伝導や一般工業用ガスとして有効に使うことができる。液体酸素をガス化するときに、その圧力を利用してタービンを回して発電することも可能かもしれない。
これはまだ机上の計算の段階で実プラントはできていないそうだが、ここで使われる技術は既存のものばかりだから、新たな開発ではなく、組み合わせをいかにうまくやるかにかかってくる。何でもかんでも蓄電池で変動を抑制するという単純な発想から抜け出ないと、日本の自然エネルギー導入は世界の潮流から取り残されるだろう。