効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

シャープ亀山工場

今日も期待に反してまだ暑い。朝から家を出て、JR奈良から亀山までJRを乗り継いででかけた。燃料電池開発情報センターが準備してくれたシャープ亀山工場訪問の研究会に参加するためだ。その主目的は、同工場に設置されている溶融炭酸塩電解質燃料電池(MCFC)を見るためだ。もともと作動状態を知るために計画されたものだが、正常な稼動を継続されなくなって撤去されるということになって、完全撤去前に見せて貰うことになったもの。MCFCは米国のFuel Cell Energy社しか開発製造していない。溶融塩という極めて取扱の難しいものを使っているから、耐久性や稼動の安定性に問題はないのかとは思っていた。Fuel Cell Energy社から来るニュースレターを読むと次々に成約しているし、韓国のPoscoがセル部分についてもライセンス生産することになっている。最近では株式公開による資金調達も行っているから、技術的問題をクリヤーしたのかなと思っていた。
全国から35人ほどが集まっての会合。明日もあるそうだから大変な人気だ。まず液晶技術や生産工程のことを学び、工場の屋根に乗せられた4500キロワットの太陽光発電設備などを見せて貰った。その後発電設備が固まっている地区にバスで移動して、最初に見せて貰ったのが、1万キロワットの高温超伝導を利用した電池。液体窒素ではなく液化ヘリウムを使っていた。マイナス170℃辺りまで冷やしている。この工場は雷などに起因して電力供給が瞬間的にも途絶えると、生産工程の製品が全部おシャカになるから、瞬低瞬断対策に大きなコストをかけている。他には大容量のキャパシターも使っている。ついでMCFCの設置現場を訪問したが、4基あった内2基はすでに撤去されていて基礎がむき出しになっていた。担当者の説明では当初の期待に大きく反して、稼動を継続するのに苦労したようだ。結局プラント輸入をしていた商社がメンテサービスを継続しないことになったために、MCFCの使用を止めることになったようだ。輸入品だから重要部分が故障すると、取り替え部品の到着まで2週間はかかるし、温度上昇にも何日かかかるので、設備担当者は運転にいつも泣かされていたようだ。他にもビール会社などでこのMCFCを使っているところがあるから、同じような問題に遭遇しているだろう。商社が事業から手を引くのだから困ったことになるはず。
韓国がFuel Cell Energy社のMCFCの開発に力を入れているようだが、本当に商品として売れるものができるのだろうか。亀山から関西線の各駅停車で2時間。車だったら名阪を使ってもっと早く帰宅できたろうが、鉄道では極めて不便なところに工場はある。疲れたが充実した一日だった。