効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

涼風椅子

東京ガスが面白いものを開発した。クールチェアだ。ずいぶん昔、同社の横浜近くの支社を訪問し、そこの新しい試みを導入した空調設備を見せて貰ったことがある。その時に感心したのは、検針担当の人たちが利用する部屋と机の工夫だった。検針員はほとんど日中外出している。だから部屋全体を均一に冷房する必要はない。部屋全体は若干の冷房だけにして、デスクの前に設けられた風の吹き出し口から涼しい風が吹き出すようになっていた。吹き出しの力も変えられるし、温度も好みに設定できるようになっていた。床から吹き出す空気で空調するのもその時に初めて実物を見せて貰ったことを思い出す。この方式は新国立美術館に使われていることをだいぶ前にこのブログで書いたこともある。
クールチェア、あるいは涼風椅子。前方の送風ファンから空気を取り入れ、座面全体から吹き出すことで着座面の熱を軽減する。ひじ置きにもカーエアコンのような送風口があり、好みの方向から風を受けることができるという。いすに座ると自動的にスイッチが入り、立ち上がると停止。充電池で稼働する。いすは事務用品メーカーのコクヨが試作し、東ガスの港北NTビル(横浜市)に40脚導入されている。自分が以前に訪れた場所と同じなのかもしれない。最新の高効率エネルギー機器を集めた同ビルでは、デシカント空調(水の蒸発熱を利用したもの)が温・湿度を管理すると同時に、室内でも人が執務する領域を区別してきめ細かな制御を行う。「クールチェア」はそうした空調の効果を高め、暑がりな人に喜ばれそうだと紹介記事が述べている。
この椅子の効果を科学的に測定するのは難しいかもしれない。だが、これを思いついたのは東京ガスの人なのか、それともコクヨか、他社か。面白いからやれと開発にゴーを出した人も大したもの。もう一つこの椅子に蓄電池が使われているということだ。この充放電をうまく管理すれば、建物全体の電力需要を平滑化することもできるだろう。この充電をするには電線を使うのか、それとも何か特殊な方法を使うのだろうか。充電毎に椅子を別の所に持っていくのは不便だ。いつも置いてあるところで充電する面白い工夫がしてあるのかしら。あるいは蓄電池だけ定期的に取り出して充電するのだろうか。ちょっと聞いてみよう。全部の椅子がこれに変われば、大きな蓄電量が生まれる。直流ビルに向けた一つの動きだとも言える。