効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ロシアが穀物禁輸

昨日はEUのエネルギー安全保障に対する厳しい姿勢を述べた。今日の新聞であらためて日本の脆弱さに恐怖心を持った。ロシア政府は5日、小麦など穀物の輸出を一時禁止することを決定したと報じられている。記録的な猛暑と少雨による干ばつ被害が拡大し、穀物生産が落ち込んでいることに対応したものだ。期間は今月15日から12月末まで。 輸出の禁止の対象となったのは小麦のほか大麦、ライ麦、トウモロコシなど。ロシアからの輸入の多いエジプトなど中近東諸国にまず影響が及びそうだという。ロシアでは中部や南部の穀倉地帯を中心に干ばつが広がり、政府はすでに非常事態を宣言している。今穀物年度(2010年7月〜11年6月)の予想穀物収穫高を昨年度比26%減の約7000万トンに引き下げていた。政府は当初、今年度の輸出量を昨年度並みの2150万トンと想定していたが、計画見直しを迫られたという。
食糧の輸出余力を持つ国は少ない。これから人口が増え、経済規模が拡大する中国をはじめとする新興国も、早晩穀物輸入に転じるだろう。その時にエネルギーだけでなく食糧のエネルギーベースでの自給率も低い日本は、今回のような気候条件だけでなく政治情勢の変化の中で、生活の基盤となる物の供給を止められる可能性がある。少なくともそのようなことの起きる可能性を小さくする国際戦略を持たなければならない。昔米国からの大豆の禁輸で痛い目にあったこともあるのだから、これが広い範囲の食糧で起きないとは言えない。
日本の技術力が発揮されている電気自動車についても、高性能の電気モーターを製造するのに、どうしても必要なネオジムとジスプロシウムが中国に資源の大半があり、中国は輸出規制をかけ始めている。いわば産業の米の供給を止められる可能性があり、日本での製造ができなくなるかもしれない。ただ、これは、エネルギーや食糧と異なって、このような希少資源に代替することができる素材を開発できるかもしれない。それができなければ、電気自動車開発、製造は中国の管理下に落とし込まれるだろう。
日本が置かれた状況を脱するには、起死回生の発想が必要。国としての戦略が必要なのだが、それが皆無な現状を見ると、背筋が寒くなる。