効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

*中ロが握る原発市場

日本は原発技術を維持する必要があるとする振興策を考えていると言われるが、標題の報道記事を見て、現実的には無理だと感じていた日頃の感覚は誤っていなかったようだ。2000年以降に世界で稼働した原発の約6割は両国の企業が担っている一方、米国では採算悪化で原発の運転停止が相次ぎ、欧州も脱原発が勢いを増している。

2000年以降に稼働した原発の数とその原子炉製造企業の国籍を国別に見ると、中国が33基、ロシアが15基、インドが11基、韓国9基、フランス6基、日本が5基、カナダが3基、そして米国が1基となっている。この数表の標題が、「期間中に稼働した原発の数と原子炉製造企業の国籍」、となっているから、中国やロシアが海外で受注建設したものも入っているはずだ。少なからず驚かされたのはインドの11基だ。インドにこれほどの原子炉製造技術があるとは知らなかった。2018年時点での数字で、資源エネルギー庁が出した資料というから、自分の解釈の間違いではないだろう。建設中のものはここに含まれていないことにも留意すべきだ。

中国の場合、国内経済の安定に発電能力の引き上げが不可欠という事情に加え、習近平(シー・ジンピン)指導部による産業政策「中国製造2025」でも原発を重要な技術と位置づけているのが背景にあると記事は述べている。

現在、中国が国内で計画する原発は150基以上。英国でも中国企業による原発建設計画が進む。米仏の加圧水型軽水炉(PWR)をベースに中国が自主開発した第3世代原子炉「華竜1号」はアルゼンチンやパキスタンなどへの輸出が決まった。稼働数で圧倒し、部品調達でも価格競争力が高いのが最大の強みだろう。

電力需要が高まる中東やアジアに売り込みをかけるロシア国営の原発企業ロスアトムは、7月時点で世界の新規原発建設で全体の67%にあたる35基の契約を締結したと発表し、19年には世界初の洋上原発も稼働させるということだ。

原発の稼働には必ず使用済み核燃料の処理が問題となるが、中国、ロシアの場合であれば、有無を言わさず処理地を決めて実現させ、輸出したプラントから出る物も自国に持ち帰って埋設処理することもできる。日本や米国ではできないやり方だ。

日本は原発輸出をすることなど考えない方が良いのだろう。