効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

中国がロシアからの電力輸入増強

日経の報道を引用する。
中国国有送電大手の国家電網はロシアの同業大手、連邦送電会社の統一エネルギーシステムと提携することで基本合意した。50億元前後(約650億円)を投じて中国北部とロシア極東地域を結ぶ超高圧送電網を共同建設し、将来的にはロシアからの電力調達量を現行の50倍規模に引き上げる構想だ。中国は電力不足に悩んでおり、ロシアとの提携強化で国内での安定供給を目指す。国家電網がロシア側と、送電網の共同建設・運営、送電設備の提供、技術協力を柱とする枠組み協定を結んだ。高効率の送電が可能な超高圧送電網を中国北部―ロシア極東間に2011年に建設する方向で具体的な検討を始めた。2010年の中国のロシアからの電力調達量は10億キロワット時の見通し。今回の提携で中ロ間の送電能力を拡充。中国のエネルギー局関係者は「5、6年後をめどに年間の電力調達量を最大で500億キロワット時に引き上げたい」としている。中国の09年の電力消費量は前年比6%増の3兆6400億キロワット時。
中国は発電設備も送電設備も極端に不足している。しかも発電設備を増設すると、早く建設できるのはどうしても石炭火力になってしまい、CO2の排出量は増えるし大気汚染がさらに悪化する。西北部に多い水力発電の開発にも力が入ってはいるが、この完成には時間がかかるし、それを電力需要の多い沿岸部まで送電するのに系統容量が不足している。中国はロシアとヴェトナムから電力を輸入しているが、この記事によるとロシア依存を急増させようとしている。ロシアの発電用燃料は多分天然ガスだろうし、ロシアはCO2排出の問題は抱えていないから、石炭火力による供給も問題はない。この両国を結ぶのは、両国が50ヘルツだから交流のまま連系させることもできるが、相互の系統が影響し合わないように直流で連系する可能性もある。特に送電距離が数百キロを超えるならば、ロシアで発電したものを超高圧直流で送る方が有利になる。この設備建設をどこが受注するのだろうか。また、ロシアに国の基盤である電力を依存する中国政府の判断基準はどこにあったのだろうか。将来の500億キロワットという数字は全体から見ると小さいように見えるが、これをロシアが政治的取引に使うには十分な大きさだ。安全保障問題ともろにぶつかる可能性がある。