効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

太陽熱発電と日本

日本とチュニジア両政府は7月23日、チュニジア国内での太陽熱発電事業に日本の官民が協力することで合意したと発表した。日本側が5メガワット規模の太陽熱発電の実証プラントを建設するのが柱。チュニジアが位置する北アフリカは太陽熱発電の有望市場で、経済産業省によると、日本の官民が手掛ける初の太陽熱発電事業となる。
太陽熱発電の基本技術についてみれば、日本は優れたものをもっている。しかし、日本では太陽熱発電を建設することができないため、世界の砂漠地帯に市場を求めなければならない。ところが、砂漠地帯は米国、中国、北アフリカのような、日本企業が働きかけるには難しいところにしかない。政府主導でプロジェクトを作り上げなければいけないと思っていたのがやっと実現して良かったと思う。北アフリカはもともと欧州の植民地であったために、欧州企業が欧州各国の政治力を利用して入り込んでいる。特に、太陽熱・光発電からの電力を欧州まで地中海をクロスして送る壮大な計画が推進されているだけに、日本が入り込む余地はないかもしれないとも思っていた。
6月15日の日記に書いたように、川重が天然ガス発電と併用した太陽熱発電システムを開発している。しかし、これが北アフリカで実際に取り付けられるかどうかは、技術レベルの高さだけでは不十分。どうしても借款なども組み込んだ政府レベルの交渉が不可欠となる。現在日本が海外支援に使える政府資金が小さくなっている。この辺りから見直さないと、欧米だけでなく中国にもプロジェクトをとられてしまうのは確実。おそらく韓国も受注に向けた政府の動きは日本より活発ではないかと思う。今回のチュニジアとの政府間合意が優れたシステムの実証例となって、日本企業が海外で事業を展開できるようになってほしいものだ。