効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

パワー半導体

電気自動車の登場で、直流制御に不可欠なパワー半導体の開発に電機メーカーが動き出した。新聞報道に「 電機大手が電子機器の電力消費を減らす次世代型「パワー半導体」の実用化を急ぐ。東芝は2013年をめどに新型チップを搭載した鉄道車両向けの電力制御装置を開発。富士電機ホールディングスは産業技術総合研究所とチップの試作を近く始める。新型チップは炭化ケイ素を素材に使い、電力の損失を50〜70%抑える。三菱電機ロームも開発を強化しており、様々な機器の省エネが大きく進みそうだ。」とある。電車の場合、昔は直流をそのまま直流モーターに供給し、回転力の制御には、電圧を制御していた。その制御には、直流を抵抗器に流して発熱させることで行っていたから、昔の電車には大きな電熱器がぶら下がっていた。だからエネルギー効率は悪かった。最近の電車を横から見ると、制御ボックスにVVVFと表示されたものがある。可変電圧、可変周波数の意味で、直流を周波数が変えられる交流にし、その電圧も変動させることによって、モーターの回転数や力を制御している。これには制御用の半導体が不可欠。これまではシリコンを使っていたが、大きな電流を流すのが難しかった。これが最近炭化ケイ素を使うものに変わって、耐熱性も上がって直交変換効率も上がっている。
電気自動車にはこの種の半導体が採用される。蓄電池が原動力だから、それを使ってモーターの回転数やトルクを増減させるには、どうしても直交変換をしなければならない。その変換効率の差が電気自動車の電力消費にもろに響くし、どれだけ遠距離を走れるかも左右される。これ以外に、最近直流ハウスもシャープやハウスメーカーが開発しようとしている。ここでもパワー半導体が重要な役割を持つことになる。パワー半導体が扱える電圧もこれから高くなることが要請される。開発競争が激しくなるだろう。
さらには、高圧直流送電にも、高圧交流を高圧直流に変換するパワー半導体が必要だ。遠距離送電には直流の方が送電損失が小さいので、これから世界で利用されるだろう。この分野で日本は欧州のメーカーに技術開発で遅れているような印象を持っているが、実のところはどうなのだろうか。詳しく調べてみたい。