米国マサチュセッツ州の沖合に洋上風力発電を建設する計画が、最初に計画されてから9年目にやっと連邦政府から認可された。プロジェクトの名前はケープ・ウインド。これが米国初の洋上風力発電となる。当初の計画では3.6MWのタービン170基の予定だったのだが、130基に減らして着工できそうなのだ。まだ最終的な認可にはなっていないが、468MW(46万8千キロワット)が来年から建設に入る予定。発電された電気はナショナル・グリッド社が購入することになっていて、契約の最後の段階に入っている。
この計画には住民から反対が巻き起こった。自然破壊と景観破壊だと言う理由だった。訴訟も起きていて、公聴会が何度も開かれたようだ。国立公園管理者からも横やりが入った。風力発電事業者から見れば、この洋上発電が認可されなければ、連邦政府が保有する海面で風力発電を行うことは不可能になる可能性もあったから諦めるわけに行かなかったのだろう。また、連邦政府としても、洋上風力発電の可能性に道を閉ざしてしまうと、温暖化ガス削減の目標が達成できない州が出てくることを恐れたとも考えられる。マサチュセッツ州知事はこのプロジェクトを強く支持していた。この州は2020年に22.1%の再生可能エネルギーを導入するということになっている。米国の北方だから太陽光発電には頼れない。風力がだめになると、後はバイオマスしかないのかもしれない。おそらくほっとしているだろう。このプロジェクトは建設に千人が雇用される他、建設が完了して稼働を始めると、30年間はフルタイムの仕事が新しく生まれるとされている。
日本もいずれ洋上風力発電が必要になるが、米国のこのプロジェクトが認可されたことを評価すべきだろう。