効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

グリーンビルディング

環境ジャーナリスト、環境評論家、同時通訳者、システム思考の推進者など、多面的な活動をしている枝廣淳子さんから頻繁に送られてくるメール情報、Environ- Newsの本日版に興味ある内容が出ていた。今日の一言というシリーズだが、彼女が出席したセミナーで、WRI(世界資源研究所)の研究者による「東南アジアにおける環境の趨勢が市場や企業の収益にどのような影響を与えるか」を聞いて勉強になったと同時に、びっくりしたことがあったということだ。それは、インドではいま「グリーン・ビルディング」の市場がすごい勢いで大きくなっているそうで、グリーン・ビルディングの市場はこの2〜3年で10倍にもなるだろうということだ。そこで質疑応答の時に「その急激な拡大の原動力は何か? 政府の規制なのか、消費者の嗜好なのか、純粋な経済性なのか……?」尋ねたら、そこに大きくいって3つあるという返事で、それが次のようなものだったという。
(1) インド政府のエネルギー基準は任意的なものだが、州によっては、高いレベルの省エネ基準を義務化しているところや、認証制度を採り入れているところがあること。
(2) インドでは中〜上流階級の消費者が増えており、この層の人々が室内の空気の質など、「快適な室内環境」を求めるようになっている。「クリーン・リビング」「クリーン・ライフ」とよく言う。そういった室内の環境性能を求めることからグリーン・ビルディングへの関心が高まり、結果的に、省エネ等も進んだ建物が増えている。
(3) インドには、多国籍企業が数多く事業展開しており、そういった多国籍企業が自国で使っている厳しい環境性能を盛り込んだ建物基準を海外にも適用するようになってきており、その結果、インドの企業の取り組みも増えている。
これは自分にとっても驚きだったが、一方では日本のとるべき方策へのヒントもあるなと感じた。地方のリーダシップが必要だということ。環境を消費者が具体的な形になるように求めるということ。国際化によって、そうせざるを得なくなっている側面があるということ。市民の要望に応えた規制と企業行動が動かしているようだ。どうも日本は、環境面で進んでいるという自己満足に浸っている間に、現実はどんどん置いてきぼりにされつつあるのではないかと感じた次第。