効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

天然ガス市場に変化

天然ガス化石燃料であることには違いないが、石油に比べて枯渇までの年数が長いとされ、石炭よりも燃焼時に排出するCO2の量がぐっと少ないために、地球温暖化対応には天然ガスの利用を増やす方向に行くと想定されている。そのためこれまで天然ガスの供給国であるロシアは、高値で周辺諸国に販売し、時には外交戦略の重要資源としても利用してきた。ところが、ここに来て世界の天然ガス需給がゆるみ始め、ロシアは天然ガスの販売価格を引き下げざるを得ない状況になっていると報じられている。ロシアの石油天然ガス産業は同国のGDPの25%を占めているだけに経済に与える影響は大きい。
天然ガス需給が緩んだ一つの要因に、シェールガスと呼ばれる非在来型のメタンガスの採掘が世界的に進んでいることが上げられる。固い岩盤から採取されると聞いているが、米国でも最近この開発が進んで、少し前まで天然ガス不足を補うために海外からLNGを輸入しようとしていた計画で頓挫しているものが出ていると聞く。また、天然ガス自体も、カタールLNG生産量が増大しているし、北アフリカでもLNG生産能力強化が進んでいる。ロシアとしてはこれまでの強気姿勢を保てなくなったのだ。
シェールガスの埋蔵量がどれだけかよく知らない。しかし、広義の天然ガス資源がこれまで想定されていたよりもかなり多そうだという感じがする。もともと天然ガスがエネルギー市場に登場したのは石油より新しく、未開発ガス田も多いとよく聞かされる。ロシアの資源戦略転換も短期的なものではないかもしれない。とはいえ、日本には、自前のガス資源はほとんどなく、開発中のメタンハイドレートに期待するしか輸入比率を下げる方法はない。日本のエネルギー産業が相次いで海外のエネルギー資源権益の確保に向けて動き出したのは、エネルギー安全保障の意味で重要な動きだと思っている。