効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

新時代の電力供給事業

出光興産が風力発電からの電力を遠く離れたユーザーに販売する事業を始めた。青森の六ヶ所村日本風力開発保有するウインドファームで発電された電力は、風任せの発電量の変動を抑制し、需要の少ないときに系統へ流すことができるように大型の蓄電池が設置されている。したがって、蓄電池の容量が十分大きければ、この自然エネルギーからの電力、いわゆるグリーン電力、を多少高くても使いたいというユーザーがいれば販売することができる。ただ、そのような大口ユーザーがウインドファームの傍にあることは稀だ。今回もこの電力ははるかに遠い東京の新丸ビルに送られることになっている。新丸ビルの需要も刻々変動するから、それに追随してウインドファームからの送電は行われなくてはならない。別に秒単位などではなく、今の制度からすると30分単位で需要と供給の量が一致するようにすれば良いはずだ。新丸ビルはこの自然エネルギーからの電力を購入することによって、ゼロエミッションビルということができるだろう。それを売りにすることで優良テナントが確保できるはず。米国ではこのようなケースでは環境に優しいビルとして高いランクがつけられるはずだ。
今回は青森から東京まで送電しなくてはならないため、東北電力東京電力の送電線を借りて送る、いわゆる託送制度にのっとって送電されるはずだ。その託送量と発電原価を足したコストが現在使用している電力の料金より高いとしても、高くなるビルの価値を上回らなければ良い買い物になるはずだ。このような事業を始めた出光興産、日本風力開発、そして新丸ビルに敬意を表したい。というのはこのような電力供給事業は風力に限らないからだ。たとえば、電力会社以外の事業者が大規模な太陽光発電設備を建てて売ることもできるし、バイオマス燃料を使ってある程度の規模の発電をしてそれを売ることもできる。今回の事業も小水力やバイオマスも含まれているようだ。バイオマスの場合には別に蓄電池も不要だから、コストさえ合えばCO2を排出しない、しかも需要に応じて稼働できる発電所として事業が可能になる。青森にバイオマスが確保できれば、変動する風力と制御できるバイオマスにより発電を組み合わせて電力供給をすることも可能なはずだ。別に同じ敷地内にある必要もない。極端に言えば新丸ビルの近くにバイオマス発電があっても良い理屈となる。小型水力についても同じことだ。COP15コペンハーゲンで開始された時期にこのような報道を見ると、救われたような気がする。