効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

フィンランドの原発建設

米国で風力関連のリサーチをしている友人が、今日5月29日付のニューヨークタイムスを送ってくれた。長年の親しいつきあいだから、彼が自然エネルギー促進派であることを知っていたので、この記事を送ってくれたのは、日本の原発依存に警鐘を鳴らしたいのだろうと思った。
記事のタイトルは、フィンランド原発ルネッサンスといわれたプロジェクトがトラブルに陥っている、というものだ。フィンランドでいま建設中の原発は、新世代の技術を採用したもので、標準化が行われているために建設期間も短く、コストも従来より安く、安全性も高まっているとして注目を集めていた。フランスのアレバ社が設計建設している。ところが着工後4年が経過したが、当初30億ユーロと想定されていた建設費が、少なくとも5割は高くなっており、今年の夏には完成しているはずのものが、アレバもこの原発を発注した電力会社もいつ稼働できるかについての予想を発表することができない事態になっている。
また、これの姉妹機がフランスのフラマンヴィーで建設中であるが、これもフィンランドのプラントと同じように完成予定が大幅に遅れ、建設費も予算を上回っているそうだ。米国では、ジョージア州フロリダ州で、原発建設費の高騰のため州法を改正して、未完成の原発コストを賄うために料金を上げるという。この原発はまだ着工もしていないのだから余程の見込み違いだろう。原発二酸化炭素を出さない。OECD原子力エネルギー局によれば、その温暖化ガス削減効果を発揮するためには、2030年まで毎年平均12基が世界で建設されなければならないが、これから廃炉になる原発の数を補うだけの基数も建設されていないという。ドイツのアナリストによれば、世界で44基が建設中だが、その内22基は建設が遅れていて、9基は完成予定もはっきりしていない。米国で新型炉の原発の申請が出されているが、その審査が大幅に遅れている。テロを想定して、飛行機が衝突しても安全かも問われているからだという。原発依存度が80%で58基の原発を持つフランスでも、1999年以来原発の新設完工はないらしい。
完成の遅れやコストアップの背景もいろいろ書かれているが、全て安全性に関連するものばかりのようだ。日本も同じ課題を抱えることになるのではないか。