効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

エジプトの政変

エジプトのムバラク大統領が辞任した。具体的にどのような形で新しい政権ができるかまだ分からないが、自分が予想していたタイミングで、そして、国民との大衝突で命を落としたり、国外追放されたりしないで政権移行が実現できそうなのは、まずまずだったと思う。これから軍の組織がどのような舵取りをするか予断を許さない状況ではあるが、血塗られた革命にならないように願うばかりだ。
しかし、エジプトの政体が変化することによって、中東からのエネルギーに依存する日本としては、これから気が抜けない毎日になりそうだ。もしも何かの衝突がスエズ運河の運航を閉鎖したり、極端な場合施設を破壊して復旧に長期を要したりする事態になれば、世界の物流、特に石油、LNGの輸送経路がケープタウン経由にならざるを得なくなる。そうなると世界経済の行方がますます分からなくなる。このような非常事態が起きないとしても、この地域の地政学的なバランスが根本的に変化する。世界へのエネルギー供給を担う地域で唯一安定していると考えられてきた国が、極めて流動的になるのだから、中東諸国だけでなく、ロシアをはじめとする石油や天然ガスの生産国からの輸送パイプラインの敷設計画にも大きな影響を与えるだろう。エネルギーハングリーな中国が、エジプトへの影響力を強めるために動き始めるに違いない。本来なら同じようにエネルギーハングリーであるはずの日本が、どのような外交戦略をとるか、今の政権では難しいかもしれない。米国頼りになってしまうのか。