効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

振動で発電する

同じようなことを以前に書いたことがあるが、奈良新聞の3月27日号に商品化の記事が出ていたので引用したい。オムロンが数十ヘルツ以下の振動を利用して発電するデバイスの試作品開発に成功したそうだ。数十ヘルツの振動というのは身近にいくらでも存在する。昔、高速道路に架かっている橋から出る耳には聞こえないほどの低周波振動のために、周辺住民が体調を崩したという話を聞いたことがある。車が通る度に橋が振動したのだが、それは耳に聞こえないだけで、かなり強力な音波だったのだ。このような振動は大きなエネルギーを持っているから、それを発電に利用することができればというのは誰でも考える。しかし、いままでそのような振動を電気エネルギーに変換する仕組みがなかったのだ。前に書いたのは改札を通る人の足圧で発電するピエゾ素子であったり、電車の揺れを吸収して発電するものだった。今回のものは、対面した二つの電極基板がずれることで電気を作る仕組みだそうだ。
静止状態では半永久的な電荷をもつ絶縁体と、対向したメタル電極基板との間で電気を蓄える。振動によって片側の電極が移動することで電気を取り出せるという。オムロンのプレス発表にアクセスできたので、そこにあった原理説明も添付する。大きさは縦横20ミリ、高さ8ミリで百円玉とほぼ同じ。発電性能は10マイクロワット(10ヘルツ、加速度1Gの場合)でクオーツ式腕時計の消費する電力の10倍。センサーや無線通信機と組み合わせれば、電源なしに作動させることができる。おそらくバッテリーかキャパシターが必要だろうが。オムロンは「4年以内の商品化を目指し、数百円から千円程度の価格帯で発売したい」としている。すでに橋の老朽化監視システムとして実用化研究をしているそうだが、橋の振動を利用してで発電した電力を蓄電し、ひずみセンサーの信号を必要なタイミングで送り出すようになるのだろうと思う。応用範囲は極めて広いのではないだろうか。