効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

コメントをいただいて

因幡写楽さんから3月30日の日記に対して、『有機肥料は食の安全につながりますし、安価な細菌による分解システムが開発されたらいいですね。細菌の温度管理にエネルギーを使うと本末転倒になるかもしれませんが。ゴミ問題は環境の中で重要ですよね。発展する隣中国の企業が日本から出るゴミ(金属、古紙など)を資源として買っているをテレビでみていると、改めて考えてしまいました。』というコメントが届いた。細菌の有効性を指摘されたのに脱帽。細菌は、人間が高温高圧を使ってやっと可能になっているようなことを、ほとんどエネルギーを使わずに実現している。たとえばメタンを工業プロセスで作ろうとすると、膨大なエネルギーが必要だが、メタン発酵菌は糞尿や食品廃棄物を自分の食べ物として摂取して、自分が不要なものとしてメタンをはき出してくれる。仰るように彼らを快適環境に置いてやらなければ、メタンを順調に作ってはくれないので、発酵槽をある温度の範囲になるよう管理しなければならないとはいえ、それにエネルギーが必要だとしても、メタンを使って発電したあとの廃熱で十分すぎるほどだし、逆に外気で冷やしてやることもある。それに使うポンプなどの電力も必要だが、ほとんど自前で賄うように設計するのは難しくない。
考えてみれば、日本酒、納豆、味噌、醤油、フナ寿司など伝統食は細菌の存在なしには不可能なのだ。ヨーグルトやチーズもそうだ。いかに目的にかなった細菌を見つけるかが重要なのだが、偶然の産物であることも多い。代表的な例がペニシリンの発見につながった青カビの効用だろう。病原菌の培養がうまく行かないシャーレから、たまたま青カビが入り込んでいたからだと気づいたのが病理学者フレミングだったと聞く。駄目だと捨ててしまわなかったことが人類への福音をもたらしたのだ。
3月30日の日経新聞に、神戸大学の近藤昭彦教授らが、雑草や木材の植物繊維からガソリン代替のエタノールを効率よく作る技術を開発したと報じられている。遺伝子を組み換えた酵母を使い、繊維成分をほぼ全てエタノールに直接変えられるというから凄い。実験では72時間で繊維質のほとんど全てがエタノールになったそうだ。廃棄物として処理しなければならない残渣が少ないのは優れものだ。2010年には実証プラントを建設して実用化水準にまで引き上げる計画だという。いまガソリン代替エタノールはトウモロコシなど食料となるものから作られている。これが植物繊維から安く製造できれば、食糧安全保障にもつながる。酵母の利用だから発酵効率と発酵速度が十分であればコストは低くなるだろう。実証の成功を祈りたい。