効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

日清紡が燃料電池用触媒を低コストで

今日の日経新聞一面に囲み記事で「日清紡は家庭の電源や自動車に使われる燃料電池の触媒として、高価な白金に代わる炭素材料を初めて実用化し、2010年春から量産する。性能は白金とほぼ同じでコストは約6分の1になる。燃料電池車に使った場合、車全体の約1割に相当する50万円程度のコスト削減につながる見込み。燃料電池の普及に弾みが付きそうだ。炭素材料は「カーボンアロイ触媒」と呼ばれる。日清紡は中央研究所(千葉市)で来春から生産を始め、自動車や家庭用燃料電池メーカーに出荷する。生産量は15年に年産数トン、20年には数十トンに引き上げ、500億―1000億円の売り上げを見込む。」と報じられている。
現在商品化されている燃料電池はどれも白金を触媒に使わざるを得ないために、コストダウンに限界があると見られていた。そして、その白金の量を引き下げる技術開発のほか、白金に代わる触媒の開発もあちこちで行われてきた。いままでの成果はどれも研究室レベルで実用化には時間がかかると思われるものばかりだったが、来年春から量産するというのかだから一足飛びに商品化されたわけだ。日清紡は伝統的な繊維関連技術を開発するのではなく燃料電池に繊維技術を応用する方向に梶を切っているとは理解していたが、ここまでのものを開発したとは驚きだ。
この新触媒がそのまま現在の燃料電池セルにある白金触媒と置き換わるとは信じられない。素材が異なれば、触媒効果がもっとも発揮できる温度条件とか雰囲気が違ってくるだろうから、制御自体も基本的にやり変えなくてはならないだろう。量産体制に入るということは、すでに燃料電池メーカーでテストされて受け入れられてはいるのだろうが、すぐ商品に組み込まれるのかどうかもう少し見守る必要があると思う。