効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

余裕のある送電線

オバマ新大統領の就任後に向けて、電力供給網に関して面白い動きが米国議会に見られる。ネブラスカ州選出の下院議員が、送電線を新規に建設する場合には、将来風力発電や太陽発電などを受け入れやすくするために、現在必要とされる容量に余剰分を加えたものを建設すべきだという法案を出しているそうだ。ここで太陽発電は太陽光発電だけでなく、砂漠がある米国では太陽熱を利用して蒸気発電を行うものも入っているだろう。需要地から遠い場所にこれから建設される自然エネルギーによる発電が、送電線が近くにあっても容量が限界に来ているために受け入れられないという事態が起きないようにしようとするものだ。風力発電については日本でも辺鄙なところに建設されるために、電力会社の既存の送電網に連結させるのに困難が伴うことが多い。同じことが米国でも現在起きていて、風況がよくて採算が取れる風力発電プロジェクトがあっても、送電系統が近くになかったり、接続できても送電容量が不足するために成立しないことが多く見られるそうだ。
この下院議員によれば、新規に現在想定される容量に見合っただけの送電線を建設した後に新たな容量を追加するのは大きなコストが必要で、予め見込みで余剰設備を作っておく方が結果として安くなるというものだ。いわれてみればその通りだ。ただ、送電線の建設主体から見れば、投資回収を考えれば余剰を付けておくことは受け入れられないところだろう。そこで、法案は現在計画されている新規送電線建設計画に余剰追加分を建設するについて連邦政府補助金を出すという趣旨である。新政権が自然エネルギーに力を入れることがはっきりしているだけに、この提案は面白いものだといえる。その追加投資分は、現在深刻な状況にある経済を改善する効果も期待できる。風況や太陽の利用についてはすでに何処が適地かの調査は十分なされているはずだから、この提案は将来に向けて無駄を生むものにはならないはずだ。これがどのように進展するかに興味が惹かれる。