効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

天然ガスから人造石油

鳥取を日帰りで往復。奈良を出たときには雨だったのが、鳥取では少し青空も見えるような天気で、予想以上に暖かかった。以前にここで書いたことのある、薪から作ったガスで駆動する軽自動車のガス製造装置の開発者から概要を聞くことができた。発展途上国の人が手軽にガスを作って発電できるようにできればというのが元々の開発意図であったときいて、なるほどと思った。自動車を走らせるよりも成算があるかもしれないことだ。しかし、途上国でこれに使えるような薪の元になる樹木が簡単に入手できるかどうかを考えると、また難しい課題となるかもしれない。これから実績データを積み上げる必要があるだろう。
ところで、日本が天然ガスから石油とおなじような成分の液体を製造するコストの安い製法を開発し、世界から注目を集めているそうだ。この製法はGTL(ガス・ツー・リキッド)と言われ、シェルなど世界の大手が先行し、マレーシアやカタールで生産していた。
天然ガスの弱点は輸送の難しさだ。パイプライン敷設や液化天然ガスLNG)化は初期投資が大きくなる。その点GTLは常温液体だから輸送が容易で、中小ガス田でも採算が合いやすい。
メジャー方式は、触媒の劣化を防ぐために二酸化炭素を取り除き、純酸素を送り込むためコストが大きくなる。日本の技術は炭酸ガスで劣化しにくい独自の触媒を開発している。そのため2工程を省くことができてコストを約1割下げられるそうだ。
実証プラントは来春稼働し、新潟県内の国産ガスを原料に日量500バレルの合成石油を生産する。原油価格がバレルあたり25ドル以上なら競争力はあるとしていて、15年にも日量1万5千バレル規模で商業化する予定。見学者が相次いでいるとのことだが、LNGのように特殊な輸送方法を使う必要がないために、トータルのコストは下がるはずだ。原油価格は現時点では大きく下がってはいるものの、中長期的には基本的に上昇することは確実である。このプラントが実用化すれば、天然ガスが利用できる地域が飛躍的に多くなる。現在パイプラインで輸送されている天然ガスも、液状で輸送できれば柔軟性が大幅に高まるだろう。
天然ガスからのGTLは、石油のように硫黄などの不純物を含まないために、燃料として使った場合大気汚染のレベルが大きく下がる。この計画通り商業プラントとして稼働できることを期待している。