効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

大型船舶の推進抵抗を減らす

この前にも船底に滑らかな塗料を塗ることによって、船が走るときに生まれる水との摩擦抵抗を減らしてエネルギー効率を上げる手法が開発されたと書いた。今度は、船底から小さな泡を吹き出してやることで摩擦を減らす方法が開発されたようだ。
新聞報道によると、日本郵船は工場のプラントなどを運ぶ総トン数1万4600トンの重量物運搬船に、商船では世界初となる、船底に空気を送り込む装置を搭載する。2010年に完成する予定だという。送り込まれた空気は気泡となって浮力を生じ、船底の壁に張り付く。船底が気泡で覆われると、気泡は水より摩擦抵抗が少なく、航行中の船への抵抗も減る。大型船は船底の面積が大きいため、そこに多くの気泡が張り付くことになって効果が大きくなるという。技術開発途上では直径0.5から1ミリの微少な気泡を用いていたが、もっと大きい普通の泡でも十分効果があることが分かったのだそうだ。日本郵船によると、この手法で航行中の摩擦抵抗は約20%減る。しかし、空気を送り込むコンプレッサーなどが消費するエネルギーを差し引くと約10%の効率アップになるそうだ。効果が出るのは船底のみで、水と接する側面には水泡が張り付かないために摩擦低減にはならない。また、海面の下になる部分が深い船では、空気の送り込みに使うエネルギーも大きくなるために使える船が限られてくる。水圧以上の圧力で空気を押し込まなくてはならないからだ。
同じ日本郵船が、新日石とタイアップして、自動車運搬用の船に太陽電池を取り付けてエネルギー消費を抑制すると発表した。6,200台の乗用車を運搬できる新造船で、広い甲板に320の太陽電池モジュールを搭載し、40キロワットの電力を発電する。世界で最初のものだそうだ。新日石太陽電池システムを作るのだが、洋上で塩分を含む環境にあるのだから、多分薄膜系シリコン素材のものだろう。新日石有機系のものも研究しているから、そのようなものもテスト目的で一部設置するかもしれない。照明などに使われる電力の、最大6.9%までの電力をまかなえるそうだ。2年後には蓄電池を追加して、夜間や荒天時にも太陽電池からの電力が使えるようにするという。太陽電池にとっては極めて過酷な条件のところで作動することになる。
07年に船舶から排出された温室効果ガスはCO2換算で約4億4300万トンと試算されており、世界全体のCO2排出量の約3%に相当する。これが2020年までに10〜30%増加すると予想されていて、京都議定書後である13年以降の国際的な温暖化対策では、船舶のCO2削減も重要な課題となるだろう。