効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

オール電化ハウス

日本の電力会社は総掛かりでオール電化ハウスの拡販に勢力を注いでいます。ところがあまりに前のめりになってしまっているようです。九州電力公正取引委員会から「30年で300万円得になります」は誇大広告だと排除命令を受けて、訂正せざるを得なくなっています。その算定基礎に含めるべきものを入れていなかったということです。以前には関西電力オール電化ハウスに切り替えた既築住宅に敷設されていたガス管を撤去したとして警告を受けたこともありました。もともとはまず深夜電力を使う電気給湯器の販促、ついで効率が高く政府補助も得られる電気ヒートポンプ給湯器の拡販の一環として行われているものです。本来は、深夜に落ち込む電力需要を押し上げて原子力発電のフル運転を支えようとするのが目的だったのですが、オール電化ハウスに適用される電気料金が、通常の家庭用電気料金と比較してかなり安いために、電力販売促進策に転化しているように見えます。
電力会社は市場自由化前まではかなり自由に設備投資ができましたから、発送電設備にかなり余裕があります。その有効利用のために販促をするというのは経営として間違っているのではありませんが、販売量が増える部分の電気は化石燃料を使って発電されるのですから、地球温暖化防止の意味からは逆行することになります。その一方で効率的にエネルギーを使いましょうと宣伝していることは自己矛盾と言ってもおかしくないでしょう。少し長期的に見ると、電気の拡販を強力に行うことが、日本のエネルギー安全保障の観点から見ても問題になる可能性もあります。ほとんど全てのエネルギーを輸入に頼っている日本は、これからエネルギー需要が急増する中国やインドとエネルギー源調達競争をしなければなりませんから、その時のリスクを少なくするためにも、オール電化が本当に良いのか考えてみる必要があるでしょう。勿論火の文化を変えてしまうという見方もあります。しかし、エネルギーの有効利用という側面だけでも、問題があると思います。