効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

日本の電力会社が海外電力会社を買収

関西電力九州電力が、丸紅とフランスのGDFスエズ国際協力銀行と組んだコンソーシアムで、シンガポール最大の国営電力会社SPLを買収することになりました。SPLはシンガポールの発電設備容量の32%にあたる330万キロワットを持っています。出資比率は、丸紅(30%)、GDFスエズ社(30%)、関西電力(15%)、九州電力(15%)、国際協力銀行(10%)ですので、日本の電力会社としては30%の出資をしたことになります。この発電所を改良したりして収益性を高める計画のようです。
いままでにもこのようなケースはあったはずですし、ガス会社が海外の電力会社を買収したりもしています。しかし、もしこれが逆のケースだったら日本の反応はどうだったでしょうか。Jパワーを外資が支配力を高めようとしたときに、政府の介入もあって断念させられたことを考えると、たとえば一つの電力会社を外国企業に売るなど考えられないことでしょう。
日本の電力会社の場合、全部原子力発電所を持っていますので、その使用済み核燃料の処理方式が確定していないリスクを考えると、外国企業が買いたいとは思わないかもしれません。それは別にしても、もし海外から買収の話しが出れば、日本の反応はシンガポールと全く異なったものでしょう。内対応と外対応が全く異なる日本の姿を見た気がします。
シンガポールのSPLの場合、その設備の過半190万キロワットが天然ガスを利用するもので、後は石油を燃やして発電しています。この設備の発電効率を上げることは日本の電力事業にとっては得意の分野でしょう。しかし、一方天然ガスを全量マレーシアから輸入しています。国民の命綱である水も全量マレーシアに依存していますから、シンガポールは常に喉元にマレーシアから刃を突きつけられているのです。以前には天然ガスインドネシアから輸入するパイプラインを計画してマレーシアと険悪な関係になりかけたこともありました。アジアの政治状況が変化する中で、経営上厄介な問題を抱え込む可能性もあるのではと思います。燃料を国際市場で調達できる石油に転換するのも、環境面からと政治面からと両方の理由でなかなか難しいでしょう。収益性の高い経営が続けられると良いのですが。