効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

木質燃料を使う空調機

木質ペレットを燃やして冷暖房ができる吸収式空調機が開発されたようです。吸収式というのはガスを使うものが一般的に普及しているのですが、原理的にはある温度以上の熱があれば冷暖房ができます。冷媒に臭化リチウム水溶液を使い、熱で溶液の中の水を蒸発させてから冷やして水にし、その水を真空状態の中で蒸発させることで熱を奪って冷房できるようになっています。理屈を頭に入れるのに少し時間がかかります。蒸発した水は臭化リチウム溶液に吸収されて元に戻ります。これが繰り返されるのですが、加熱して冷房ができるのが何とも不思議に思えます。
木質ペレットは、間伐材や製材残材などを細かく砕いて高温高圧で固めたものですが、直径6〜8ミリ、長さ20ミリほどのもので、自動補給もやりやすいようになっています。ただガスと違って燃えると後に灰が残ります。この処理を上手にしないと灰の処理にまた手間がかかってしまいます。矢崎総業はこの灰を効率よく回収する仕組みを組み込んで実用化したそうです。未利用材を使う木質ペレットの新しい利用先ができたと言えます。
ただ、木質ペレットは、製造先から空調機のある場所まで運ばなくてはなりませんし、それを使うまで保管しておく場所も必要です。エネルギー密度が灯油などに比べて小さいですから、保管場所も大きくならざるを得ません。しかも、ペレット製造業界もまだ十分に育っていないために、安定して供給できるかがもう一つの課題です。今回のシステムは、国内20社ほどと連携しているようですが、元の未利用材木の供給が安定的にできるかからよく計画しておかないと、燃料がないということになりかねません。
灯油の価格が高くなっているので、コスト競争力が出てきたようですが、どうしても灰が残りますので、その処理も含めると普及にはまだまだ乗り越えるべき問題は残りそうです。バイオ燃料は石油系燃料と違ってまだ流通経路が確立されていませんから、広く使われるようになるにはまだ時間がかかるでしょう。燃料自体の製造コストだけが課題ではないからです。