三菱商事(東京都千代田区)は10月30日、プロジェクトファイナンスによる融資を受けたことで、関西電力の相生発電所2号機(兵庫県相生市/火力発電、定格出力37.5万kW、2018年4月1日より休止中)のバイオマス発電所化のために必要となる詳細設計、機器調達に着手したと発表した。三菱商事の100%子会社である三菱商事パワーと関西電力が2017年4月に設立した、相生バイオエナジー(兵庫県相生市)により進められてきたもので、同2号機の燃料を、重油・原油から木質バイオマスペレットへ変更するものだ。これが石炭火力発電所であればプロジェクトファイナンスは受けられなかっただろうし、LNG火力でも受けられたかどうかは分からない。だが、生物由来のバイオマス発電の燃料は、成長段階で吸収したCO2と燃焼時に発生するCO2が等しいという考え方から(カーボンニュートラル)、大気中のCO2が増加することは無いとされていることから融資対象になったのだと思う。しかし、木質バイオマスペレットを燃料とするものだとしても、東芝が20万キロワットのボイラー製造を担当するということだから、国内でこの規模に対応するペレットを調達できるとは思えない。殆どが海外からだろう。海外でのバイオマスペレット生産と、その輸送には、環境負荷を増やす可能性があり、さらには、欧州でバイオマス火力発電がカーボンニュートラルだという仮定に疑問も出ているだけに、この更新プロジェクトは環境面で疑問が多い。石炭火力と同じベース電源扱いになることから、出力抑制は殆どせずに稼働されるだろうから、再生可能エネルギー全体の拡大に壁となることも考えられる。