効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

低炭素社会に向けた政策

「政府は29日、温室効果ガスの排出を抑える「低炭素社会づくり行動計画」を発表した。2050年までに温室効果ガスを現状比6〜8割削減する長期目標を実現するため、産業、業務・家庭、運輸の3部門それぞれの対策を盛り込んだ。二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術を20年までに実用化するほか、30年に太陽電池導入量を現行の40倍まで伸ばす方針だ。原子力発電も17年度までに9基を新設し、50年ごろから高速増殖炉(FBR)の商用化を目指す。20年をめどにこれら「ゼロ・エミッション電源」の比率を5割以上に増やし、それに向けた技術開発として今後5年で総額300億ドル(約3兆2200億円)を投じる。国内排出量取引制度は10月から試行的に実施する。」
これは電気新聞メール情報で得た記事内容です。30年に太陽電池導入量を原稿の40倍まで伸ばすということですが、どのような具体的な施策を実施するのでしょうか。何年か後にはコストが半分になるというような見通しだけであれば、みんなそれまで待とうとしますから、まず実現は難しいでしょう。原発を17年度までに9基新設という計画も、立地などを決める期間を入れるとまず不可能でしょう。立地候補の住民は、最近の地震体験などから見て簡単に同意するとは思えないからです。高速増殖炉に至っては、原子力大国フランスでも諦めている技術を日本独自で推進するのでしょうか。あまりにも楽観的な極楽とんぼエネルギー政策だと思います。CCSの技術を実用化するのも結構ですが、それよりも今やらなくてはならないのが、効エネルギーと自然エネルギーの導入をする人が勇気を得るような実効的施策の打ち出しでしょう。炭酸ガス排出をゼロにすることも重要ですが、総合エネルギー効率の高いコージェネレーションとか、既設建物の高効率化に向けた改修にお金を使う方がずっと効果があると思います。
米国の電力会社は、すでに多くの州で顧客の設備の高効率化を推進することが義務づけられています。自発的行動に期待する時期は過ぎています。公的な強制力を使わないと効果を早く出せないでしょう。そして完全に手遅れになることが心配です。