効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

電線の太さと効エネルギー

電線総合技術センター(JECTEC、関井康雄会長)は、省エネルギーへの努力義務があるすべての第1・2種エネルギー管理指定工場の屋内配線の導体サイズを約2倍にすれば、京都議定書基準年(90年度)の温室効果ガス排出量の0・66%に当たる年間833万トンの二酸化炭素(CO2)を削減できると試算した。CO2のみならずライフサイクルコストの削減効果も大きいとして、10年度から省エネ法や官庁営繕の仕様書にサイズアップした導体の規格を記載してもらうよう働きかけ、採用拡大につなげる構えだ。
これは報道された記事のコピーだ。この意味がすぐに分かる人はそれほど多くはないだろう。要するに、電気配線の太さを2倍にするということは、電線の抵抗は直径の2乗に反比例するから、抵抗が4分の一になるということだ。電気が4倍流れやすくなるのだから、大きな工場などで長距離引き回されている電線の太さを変えるだけで、受け入れた電気が抵抗で熱となって失われるのを4分の一に抑えることができるということになる。これは私がロッキーマウンテン研究所がずっと前COP3の頃に出したレポートで学んだことそのものだ。一般に配線設計には太さの基準があるが、それは安全の見地から出されたものであってエネルギー効率を良くする観点から決められていないのが問題だと指摘している。電線の太さを最初から安全基準の2倍にしてやれば、コストは当然上がるが2倍にはならず、電力の送電ロスが4分の一になることによって得る電気料金の節約によって、短時間で当初のコスト上昇分を回収できるというのだ。
今回の記事の意味では、既存の配線を入れ替えるのだからコストは余計にかかるかもしれない。ただ、抵抗の計算式からいえば、同じ太さの電線を既存のものに並べて配線しても同じことになるから、完全に入れ替えるのと並列にするのとのコスト比較になるだろう。これを実施すれば今までと同じ作業をしていても電気代は確実に下がるから、まさに効エネルギーになること請け合いだ。それを契機にして作業に使うモーターやポンプの効率の見直しをすればさらに経営改善につながるはずだ。新規の工場やビルの設計に当たっても、いままで通りに設備を組み込むということに疑問を投げかけてみると、意外に大きな効エネルギー実現ができるはずだ。
電線総合技術センターの狙いは、電線の売上増というところにもあるとは思うが。