効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

エコグループの終焉

英文読売に出た記事だが、おそらく読売には出ているだろう。滋賀県で琵琶湖がリンを含む合成洗剤による汚染によって死ぬ可能性があるのを、女性グループが立ち上がって、昔からの石けんを使うのを奨励する活動を30年間続けてきた琵琶湖会議が活動を停止することになった。その理由は、会員の高齢化である。最初に始めた女性はいま83歳だそうだ。この組織の活動によって合成洗剤の無リン化が実現したし、廃食油から石けんを作る活動が全国に広がるなど、大きな実績を残したことで知られている。今はゴミ問題、資源リサイクルなどの活動にも力を入れているのだが、会員の新陳代謝が進まず、高齢化が進むと同時に会員数が122から87と減っている。
これはこの組織だけの問題ではなく、NPOなりボランティアグループが共通して抱える問題である。強い問題意識を持つ人を中心に社会に向けた活動をする組織は、その中心的な人が居なくなるとその活動のエネルギーを失ってしまう。問題意識を継承するだけの強い心を持つ次世代のボランティアが現れないのが通常なのだ。NPOはミッションに向かって力を合わせ、それが成功することによる達成感を報酬として活動が継続されている。しかし、ボランティアにはいろいろの事情によって活動から身を引く自由がある。ボランティア同士の葛藤も時には組織の解体につながることすらある。中でも一番の問題は、ミッションを達成する活動を最初に始めた人の存在だ。その人が居なくなると、代わってやろうとするだけの気持ちを持つ人は少ないし、居るとしても自らリーダーになろうとする人は稀である。課題は組織としての永続力をどのように作り上げるかだし、それを支える資金を継続的に調達することである。それが最初のリーダーの責任でもある。
今回の環境グループと同じような組織が無数にあるだろう。環境問題はみな良く理解している。だからその組織に加わって活動することは格好良いことなのだが、それだけに仕事が増えるなどの負担がかかると、格好良さだけでは続けられなくなって止めてしまう人が稀ではない。最初のリーダーに代わるプロの組織管理者をどのようにして育てるかが、日本のNPOにとって最大の課題だと思う。その為には、生活できるだけの給与が払えるだけの待遇をして責任者として迎えるのが普通のこととならなければならない。日本ではあまりにも無料奉仕が強調されすぎるため、有給スタッフが冷遇されている。NPOも事業活動組織だからプロのマネジメントが定着しないと継続性が無くなってしまうのだ。NPOはボランティアだけの集まりと考えるのは間違いだ。利益ではなく社会目的達成をミッションとする事業組織で、その意味では企業と同じだと考えるべきものだ。