効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

暑さは山を越えたか

一昨日、東京電力は工業用などの大口需用家に操業を落として電力消費を下げるよう依頼した。耐え難い暑さのために冷房需要が急速に伸びて、柏崎・刈羽原発が止まっているために下がっている発電能力の限界を超える怖れがあったからだ。これはお願いベースのことではなく、このような時に備えて電力会社が大口と結んでいる中断可能料金制度(インターラプティブル・レート)の条件に沿って依頼が行われたものである。電力会社だけでなくガス会社も同じような料金制度を持っている。何らかの理由で供給能力が不足したときには、供給を中断することができる代わりに、そのリスクに対応して料金が安くなっている。日本では滅多にこの制度が実際に適用されることはなく、大口に対する販売促進策の一つとして機能していたのだが、この制度があったために、東京電力は危機を逃れることができたのだ。
発電能力がつつ一杯の時に、もしどこかの発電所にトラブルが起きて停止せざるを得なくなったとすると、電圧の低下や周波数のずれに止まらず、停電が起こるのを避けることができない可能性もある。今回ユーザーの協力を得ながらも無事にピークを切り抜けることができたのは良かったと思う。しかし、今後のことを考えると、工業用大口だけではなく、家庭用も含めた冷房装置や冷蔵庫のような、1時間程度止まっても日常生活に大きな支障が出ないようなものを、電力系統からの信号で停止させたり設定温度を上げたりすることができるような制度も考える必要があるだろう。IT技術を使えばそれほど難しいことではなく、難しいのは社会的合意をどのようにして得るかということだと思う。いままでにも述べたことがあるが、少しは不便をかけるのだから、協力した分だけ電気代を安くするような奨励策が一番効果的だろう。米国で実証されていることだ。一見これは電力会社のためであるかのように見えるが、停電が社会に与えるマイナスの影響を考えれば、ある程度公的な制度として受け入れていかなくてはならないだろう。
あと一週間ほどで暑さのピークも過ぎるだろうが、どの電力会社についても、不慮のトラブルが発電所に起きて発電が停止し、総発電能力がピーク時に下がることがないように念じている。