効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

圧電素子で電車の揺れを緩和

鉄道総合研究所が面白い技術を開発した。特殊な圧電素子を床や天井に組み込んで、走行中に揺れて車体が歪む力をそれで受け止め、電気に変換したものを抵抗に流して熱に変えることによって揺れを抑制するというものだ。人間は10ヘルツ前後の左右前後に揺れる動きに敏感で、強すぎると不快に感じるという。縦4センチ、横15センチの特殊なセラミック製圧電素子を車両内部に多数並べて揺れを検知すると回路に電気が流れる。その電気を発熱回路に流してやれば、揺れの動きに対して逆らう力となるわけだ。周波数10ヘルツ前後の揺れの強度を約3割下げることができたというから面白い。これだけの効果を出すというのは、歪みによる発電量がかなり大きい素子が開発されたということだろうか。
新型の電車は車体をできるだけ軽くする。それに伴って車体が柔構造になってたわみが大きくなる傾向がある。このたわみによる歪みは複雑な動きをして乗り心地を悪くするし、高速で走る際に歪みが増幅されることもあり、走行安定性にも影響を与えるだろう。それを抑制できるということは、車両の構造設計に新しい要素を組み込むことになる。ここで発電される電力の大きさは記事に出ていないが、一編成全体の圧電素子が走行中に発電する量を合わせれば、けっこう大きなものとなって、電気ブレーキの回生電力と同じように架線に流してやるか蓄電池に貯めてやれば、効率的なエネルギー利用になるだろうと思うと楽しくなる。電車だけでなく、高層建物の制震構造にも応用できるのではないだろうか。