ロッキーマウンテン研究所からのニュースレターによると、ハワイ州政府は同研究所をエネルギー効率化と再生可能エネルギーの普及などについて、エネルギー戦略アドバイザーに委嘱したそうだ。
ハワイは米国の一つの州だが、完全に他の州とは隔離されていて、エネルギー源の殆どが石油となっている。そのため、1995年に最初のハワイエネルギー戦略を打ち出し、エネルギー安全保障の見地も含めて、石油依存度を引き下げ、エネルギーコストを引き下げ、持続可能な環境を創造する施策の検討を開始している。この戦略は2000年に改定され、2007年戦略策定をロッキーマウンテン研究所が支援することになったようだ。
ハワイは、2001年に電力会社にRPS(リニューアル・ポートフォリオ・スタンダード)を課し、2020年までに再生可能エネルギーの比率を20%にするという目標を与えた。2006年にはこれが達成できないときのペナルティーを課すこととし、さらに2020年までに自動車燃料の20%を再生可能エネルギーで賄うとする代替燃料基準を設定した。代替燃料については2010年に10%という目標に向けて施策を推進しているという。
ハワイ州は主要な8つの島と沢山の小島からなっている。このそれぞれの島で、再生可能エネルギーの拡充施策が推進されている。マウイ島には2万kWのウインドファームが2006年に稼働し、さらに3万kWが新設されることになっている。ハワイ島では2005年に1万kWのウインドファームが追加され、古くなって退役した7千kWに代わって2万kWが設置されるという。ホノルルのあるオアフ島では、同島の電力会社HECOがバイオ燃料を使う10万kWのピーク対応火力発電所を建設する。バイオ燃料はハワイの気候条件から見て、自然破壊につながらない農業振興という面でも適切なものにできるはずだ。
ハワイ諸島には原子力発電所はないから日本より発電所の稼働は柔軟にできる。しかし、全体の発電規模が小さいところへ、相対的に大きな規模の風力発電所が増えていくについて、日本の電力会社が強調するような系統への悪影響があるとする反対はないのだろうか。また、観光資源に対する景観問題はどう処理しているのだろうか。ちなみに、2005年におけるハワイ州の夏期ピークの発電能力は電力会社分が158.4万kW、IPPと自家発コージェネレーションで77.4万kW、合計で235万kWとなっている。(2007年EIAデータ) この規模は米国で最小。平均小売価格は18.33セント/kWhでこちらは米国の州平均では一番高い。そして、2005年の総発電容量に占める水力以外の再生可能エネルギー発電設備容量比率は6.4%になっている。(水力は1%) 石油火力が84.6%、石炭が7.6%だから、想像するに風力発電比率はかなり高いに違いない。発電量で見ると水力以外の再生可能エネルギーは4.7%となるから、日本などから見ると驚異的に高い。系統運用について日本が学べることも多いだろうし、たとえば、最近始まっている日本の地域エネルギーの独立性を高めようとするプロジェクトについても、参考にできるものがあるのではないか。
写真はKaheawaのウインドファーム。