効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

YSER2007-02-16

スターリングエンジン
アドバイザーとして週に2回顔を出している会社で、若いスタッフからスターリングエンジンについて教えてほしいと頼まれた。スターリングエンジンは、気体を加熱したら膨張し、冷却したら収縮する現象を利用してピストンを動かすのだが、それを早く動かすために、力を伝える通常のピストンの他にディスプレーサー・ピストンというものが作動する。
その説明は理解して貰うのになかなか厄介で、一分間に600回転(往復)するというと疑いの目で見られる。

燃料電池と同じように、30年ほど前から商品化すると言われながら、最近になってやっと実用的段階に手が届きそうになったエンジンで、外から加熱することで作動することから外燃エンジンと呼ばれ、燃料は何であっても良い。
たとえば、レンズで絞った太陽熱でも良いし、木を燃やした熱でも良いことから、地球温暖化防止のために再生可能エネルギーを使うために好適なものなのだ。

模型を自分で作ることも出来るが、実用的には現在では1kW位から数十kW規模のものが試験され始めている。
昔、オイルショックの頃、日本ではムーンライト計画で開発されようとしたが、石油価格が下がったために結局開発は完了しなかった。

いま千里の万博公園里山倶楽部というNPOが、NEDOの支援を受けて1kWのスターリングエンジンを森の木を切った薪を焚いて動かしている。ドイツ製のものだが、そのメーカーは既になくなっているそうで、部品の手当にも苦労しながら何とか稼働させている。自分も訪問して魅せて貰ったが、13日の昼頃にNHKがこれを放映したので見た方もあるかもしれない。

夢を持たせてくれる熱機関だが、ひょっとすると燃料電池より早く商品化するかもしれない。ヨーロッパでは幾つかの商品化プロジェクトが展開している。

里山倶楽部の動かしているエンジンの写真を見てください。この左に大きなボイラーがあって、薪を焚いてスターリングエンジンの熱源を作り出している。ピストンの往復をクランクで円運動に変えて発電機を回している。爆発音はないが、振動の音は結構でている。しかし、魅力的なエンジンだ。排熱は回収して温水として蓄えられ、近くの設けられた足湯に使われて、公園来訪者の憩いの場になっているようだ。